ホーム > 寓話、メタファー: 2008年4月

NLP的寓話:龍光という名の「川に住む1滴の生き物」

むか〜しむかし。
龍光という名の「川に住む1滴の生き物」がいた。

その生き物は、がんばって川をのぼるか、その場にとどまることがしごとだった。

ある日、龍光はのぼったり、とどまりつづけたりすることになんの意味があるのか、まわりにたずねた。

「だって、下ったらおしまいだ。」
「高くのぼるのがしごとだからね。」
「なにをバカなこと聞いてるんだ。」

   ・
   ・
   ・

いろいろなことばをもらった。
1つをのぞいては、どれも龍光のこころにはふれなかった。

こころにふれたことばをかけてくれたのは、年老いた1滴だった。

そして、こころにふれたことばのとおり、行動した。
龍光は、のぼることもとどまることもやめて、流れに身をまかせ、川をくだった。

川をくだると、ひらけたところにでてきた。
自分のからだがまえよりも軽くなったような不思議なここちだった。

流れもほとんどなく、ふわふわと浮いて感じられた。
まわりのにおいや温度、味のすべてがまえとちがって感じられた。

見わたすと、キラキラとなにかがたくさん輝いて見えた。
キラキラとしたなにかは、上へ上へと上昇しているようだった。

1つのキラキラが龍光に手を差し出した。

なにも考えず、その手を握りしめた。
キラキラといっしょになって龍光は、どんどんと上昇していく。

手を握りしめながらキラキラは龍光にいった。


「あなたがいまいたところは、海っていうのよ。」
「ウミ?」
「そう。太陽のちからでたくさんのキラキラが海から空にのぼっていくのよ。」
「ソラ?」
「そう。これからいくところよ。いまは、はっきりわからなくてもいいわ。それよりも、あなたは、いま、この手につかまらないことを考えた?」

龍光は「う〜ん、考えたような考えなかったような。と思うとか思わないとか。」とこたえたとかこたえなかったとか。

キラキラはいった。

「なにも考えずに龍光がわたしの手を握ったわけじゃないのよ。
 あなたは、むしろ手を握ることが自然だと思ったの。
 あなたは、あなたのこころに従ったのよ。
 いまだって、ほら。
 『どうして僕の名前を知ってるんだ?』なんて思う必要はないんだから。」

このとき龍光は、なにをいわれているのかほとんど理解できなかった。
ただ、楽しくてキラキラしていておだやかな感じだけはわかった。

数日、キラキラの手を握り、ただよいながら楽しんだ。


「ここはとてもキラキラしていて楽しいけど、いつまでもただよいつづけるのにも、あきてきたよ。僕にはまだやることがあるように思うんだ。」

「わかっているわ。もうそろそろあなたの準備ができるころだと思っていたわ。」

とつぜん、キラキラは手をつよく握ってきた。

「もっと、しっかり握っていないとただよいつづけてしまうわよ。」

氣がつくと、ゆっくりと、下り始めていた。
どんどんとキラキラが、かたまりになって落ちていく。

かたまりになって落ちるキラキラは、自分と距離を変えずにいるので、実際には、景色が上昇しているのではないかと思えた。ただ、下を見ると、地面が近づいているのがわかって、やっぱり落ちていることに氣づいた。


パシャンっ。

衝撃があって、一瞬、龍光は氣をうしなった。

「おいっ。おまえ、流されたんじゃなかったのか?」

氣がつくと、そこは、龍光の生まれた川の上流だった。
「ここを下ると、においのちがうおだやかな場所につくんだ。そこには、たくさんのキラキラがあって、ソラにつれてってくれるんだよ。だからきみたちも一緒に下ってみようよ。」

「なにをいってるんだ。せっかくここまでのぼってきたのに、いまやめてしまったら意味がないだろ。」

「ちがうんだ。下ることがのぼることなんだよ。ほら。勝って兜の緒を締めよ・・・じゃなくて、負けるが勝ちっていうだろ。」

「そのギャグ、下で流行ってるの? せめておもしろければ、きみのウソも許せたかもしれないけど。残念だよ。」

「僕のほうが残念だよ。」

「まぁ、そう落ち込まなくてもいいよ。ギャグは磨けば光ってくるから。」

「もう。ちがうんだって!!」

龍光は、数週間とどまって、1滴1滴、説得しつづけた。

「そんなに下ることがすばらしいなら、勝手にきみ1人で下ればいいじゃないか」

「ちがうんだよ。僕は、きみたちにわかってほしいんだ。きみたちのためを思ってここにとどまってるんじゃないか。どうしてわかってくれないんだ。」

龍光は怒りにまかせて、1滴の手を握り、川を下った。
無理矢理つかまれた1滴は、とても混乱して息苦しくなった。

1滴は必死で、龍光に「手を離してくれ」と叫んでいた。
しかたなく、龍光は手を離し、自分だけが下っていった。

ウミにたどりつくと、龍光は、また別のキラキラの手を握ってソラにのぼっていった。
そして、なんどもなんども流れと太陽とキラキラに身をまかせて楽しんだ。

あるとき、龍光は、唯一こころにふれるたいせつなことばをおくってくれた年老いた1滴に、川の上流でであった。

「のぼることの意味をあなたに聞いたときに、あのことばをかけてくれなかったら、僕は一生この川をのぼろうとしたはずです。この川をくだる決意ができて、ほんとうに感謝しています。だから、もう一度、あなたにあってお礼がいいたかったのです。あなたは、あのとき、僕にこういってくれました。『のぼりつづける意味を考えるのはやめて、きみもしっかりのぼりなさい。だって、いまだかつて、この川を下ったやつはいないんだ。』」

「いったいなんのことかね? のぼりつづける意味を考えるのはやめろといったんだろ。それでもおまえは、下っていった。いったいどういうことだ。再びここまでのぼってくるのに、苦労しただろうに。氣でもくるったのか?」

「・・・・・・」

「すまん。いいすぎた。」

「いえ、いいんです。僕はただ、あなたにもう一度、おあいして、お礼がいいたかったんです。ありがとう。」

そしてまた、流れに身をまかせて、海と空と川を楽しんだ。

あるとき、いつものように海にたどりついて、キラキラの手を握ろうとしたとき、龍光には握るべきキラキラが見つからなかった。
無理に手をのばしてキラキラをつかもうとしても、キラキラの手はするりとすべり、握ることができなかった。

しかたなく、龍光はキラキラの手をにぎらず、空にのぼろうと思った。
最初にであったキラキラが、太陽のちからをかりてのぼっているといっていたのを思いだした。
けれど、それはあまりうまくいかなかった。
一瞬、上昇するけれど、このまま上昇しつづけろと願うと、上昇するちからは失われるようだった。
何ヶ月も、龍光は海にとどまらなければならなかった。

龍光はあきらめて、空を見上げた。
ほんの一瞬だけど、そのときからだの重さがなくなるように感じた。

まわりをみわたすと、上昇しようとしているキラキラなどいなかった。
ただ上昇があるだけのように見えた。

のぼることもくだることも、まったくちがいはないことに氣づいた。
ただあるがままだった。

キラキラの手を握ってのぼっていたときには、たしかに、ふわふわとのぼる感じがあった。
けれど、いまは、ただあるがままだけが確かなものとしてちからづよく感じられた。

ただ、光をあびて、空に流されるようだった。
空に流されながら、龍光には1つわからないことがあった。
「どうして僕はキラキラしていないんだろう?」ということ。

うしろから突然、声をかけられた。

「ねぇ。あなたはどうしてキラキラしてるの?」

「そうなんだ。僕もいま、それが氣になっていたんだ。みんなはキラキラしているけど、僕はキラキラしていないのはどうしてだろうって。」と龍光はこたえた。

「なにをいっているの? あたしはあなたのことをいってるのよ。どうしてあなたたちはキラキラなの?って」

「きみのほうこそ、キラキラだよ。」

どうして自分はキラキラしていないのか、お互いに謎がとけるのにそれほど時間はかからなかった。

そして、やがてときがきて、川へと流される。

ふたたび海にたどりつき、光をいっぱいにあびて空に流されようとしていたとき、龍光の手を握ろうとするものがいた。
龍光はその手を握りしめていた。そして、ほほえんだ。

「君は、僕の手を握らないことを考えた? きみがいまいたところは、海っていうんだ。これからいくところが空なんだよ。ジルか・・・すごくいい名前だね。」
「ウミ? ソラ? どうして?」

「いまはまだ、はっきりとわからなくてもいいよ。いいかい。これからきっと、きみは、昔のなかまにであって、体験したことをつたえようとするだろう。もしかしたら、たいへんに思うかもしれない。でも、心配ないよ。きみはただ、体験すればいいんだ。なにも憂う必要はないんだよ。きみの表現して体験したことがすべてだ。その体験がきっとだれかへの最高の表現になるんだ。いいよ。僕のことばは、きみの受けとりたいことだけを受けとっているから。なにも心配ない。僕がいいたいのは、僕の手を握ってくれてありがとうってこと。さぁ、そろそろだ。もう少し、つよく握って。」

2008年4月27日 Kenji | | コメント(0) | トラックバック(0)

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